日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
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症例・事例報告
墜落外傷による腹腔内他臓器損傷を伴わない外傷性胆囊損傷の1例
玉垣 圭祐尾上 敦規中村 佳裕中村 文子中嶋 麻里櫻本 和人室谷 卓梶野 健太郎池側 均鍬方 安行
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2023 年 26 巻 5 号 p. 674-678

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抄録

症例は49歳,女性。自傷目的での墜落外傷。搬送時,腰痛の訴えはあるも,腹痛はなくFASTは陰性であり,血圧83/55mmHg,脈拍95回/ 分であった。CT検査では胆囊周囲にはeffusionはなく,四肢・骨盤骨折の合併損傷を認めた。第2病日に右季肋部痛を訴え,CT検査を行い前日の造影CT検査で使用した造影剤が胆汁中に排泄されており,胆囊周囲にも造影剤の漏出がみられ,胆囊損傷と診断した。直ちに,腹腔鏡下での手術を行い腹腔内への胆汁漏出があり胆囊摘出,腹腔内洗浄を行った。術後は問題なく経過。各骨折の手術加療を行い,第20病日にリハビリ転院となった。胆囊損傷は初診時には診断が難しく,搬送時に胆囊損傷が否定的と考えられても継続した観察を行うことが必要である。

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