2024 年 27 巻 6 号 p. 723-729
目的:大阪府監察医事務所で取り扱われた自殺事例の背景情報を分析し,生前の自殺未遂歴に関連する因子を明らかにすることである。方法:2017年に記録された569件の自殺事例から,欠損値を除外した343件の情報を集計し,多変量ロジスティック回帰分析による統計解析を実施した。結果:女性であること(AOR 2.30,95%CI 1.32-3.99),同居人がいること(AOR 2.15,95%CI 1.19-3.86),精神科受診歴があること(AOR 3.60,95%CI 1.88-6.90)が自殺死亡者の自殺未遂歴があることと有意に関連していた。結論:女性であること,同居人がいること,精神科受診歴があることが,自殺未遂歴があることと関連する因子であった。本研究の結果の臨床的な応用場面については今後さらなる検討が必要である。