2025 年 28 巻 1 号 p. 29-32
背景:日本南極地域観測隊は日本から約14,000km離れた昭和基地にて基地運営・観測を行っている。昭和基地への主な人員・物資輸送は,年一度の南極観測船で行われている。昭和基地で傷病者の対応が困難な場合は,船舶・航空機による緊急搬送を行っている。目的:緊急搬送例を抽出し,今後の予防に寄与すること。方法:1956年11月~2021年3月まで,第1次南極地域観測隊報告から第61次南極地域観測隊報告までの文献調査を行った。結果:6例の緊急搬送があった。4例は船舶,2例は航空機による緊急搬送であった。1980年代は外傷による緊急搬送が2例,1990年以降は内因性疾患による緊急搬送が4例あった。帰国までの日数は最短で10日間,最長で約3カ月であった。緊急搬送を予防するには,①外傷・内因性疾患の発症予防,②伝送可能な検査機器を併用した遠隔医療相談の活用,③救急総合診療医の派遣が有用だと考える。