2025 年 28 巻 1 号 p. 56-62
新潟市におけるCOVID-19流行の救急応需への影響を調査した。2019年1月~2022年12月の救急搬送全症例を対象とした。COVID-19流行期(第8波:2022年11,12月)と非流行期(2021年11,12月)における救急搬送患者の特徴を比較した。また,救急搬送困難例(病院照会件数4回以上)について,多重ロジスティック回帰分析を行った。2022年に救急搬送数は激増し,搬送困難例が2倍となった。流行期と非流行期の比較では,急病,二次医療機関への搬送数が増加した。COVID-19流行下では15~64歳・80歳以上,中等症が搬送困難例のリスク要因であった。COVID-19流行による救急搬送増加は,中等症・高齢者が主体であり,二次救急医療機関への負担が大きく,搬送困難割合増加につながっていた。新潟市で二次救急を担っているのは小規模~中規模の医療機関が多いが,その機能強化が必要と考えられた。