2025 年 28 巻 1 号 p. 63-67
重症熱傷患者は感染を契機に致命的な経過をたどることもあるため,処置時の感染対策がきわめて重要である。スタッフからの感染や他の患者との間での水平伝播を防止することが課題であり,そのためにはスタッフ間で標準化された処置の知識や方法を身につけることが不可欠である。しかし,重症熱傷患者が近年減少するなか,これらを恒常的に習得することが難しくなっている。そこで,当科では日々の業務のなかにシミュレーショントレーニングを取り入れ,全スタッフが共通の感染対策を行い円滑に処置が実施できるようにした。自主学習のみでは熱傷処置のとくに技術の獲得は困難である。反復練習を行いかつテストを義務化することで全スタッフがトレーニングを重ね,一定の技能を習得できる環境を構築した。ガーゼ交換などの熱傷処置でのシミュレーショトレーニングを導入することで,熱傷処置時の感染対策に必要な知識や技術の獲得を役立つと考える。