日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
Hemophagocytic lymphohistiocytosisにPMMA膜による持続的血液濾過透析を早期導入した1例
金村 剛宗弦切 純也大竹 成明沼田 儒志奈倉 武郎佐野 秀史
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2025 年 28 巻 1 号 p. 73-77

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抄録

Hemophagocytic lymphohistiocytosis(以下,HLH)はT細胞やマクロファージの活性化によるサイトカインの過剰産生が一因とされ,重症例は不可逆的な多臓器不全に陥ることがある。症例は,1週間前から40℃以上の発熱と黄疸を主訴に当院に救急搬送された40歳代の男性。来院時の意識は晴明で,循環は安定していたが頻呼吸であった。また,咽頭発赤,眼球結膜黄染,頸部リンパ節腫脹を認めた。血液検査では,白血球および血小板減少,肝機能障害,腎機能障害を認め,さらに,lactate dehydrogenase(LDH),C反応蛋白,トリグリセリド,フェリチンなどが上昇していた。HLHを疑い,同日からステロイドパルス療法,γグロブリン療法を開始したが,症状の改善に乏しく,2病日からサイトカイン吸着目的にpolymethyl methacrylate(PMMA)膜を用いた持続的血液濾過透析を開始した。その後,間接的サイトカインマーカーであるフェリチンやLDHは低下し,症状も改善した。入院翌日の骨髄塗抹標本からHLHと確定診断し,その後の再燃はなく自宅退院した。サイトカイン除去を目的としたPMMA持続的血液濾過透析の早期導入を併せた集学的治療は,HLHの病勢を抑制できる可能性がある。

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