2025 年 28 巻 5 号 p. 810-819
分娩取扱施設の減少のため救急車内での出産が増加する可能性がいわれ,重症な妊産婦に対し救急医とのコラボレーションが提言されるなど,救急医療・医学が周産期にかかわりをもつ機会が増加している。そのような状況のなかで,厚生労働科学研究班の妊産婦死亡症例検討評価委員会,日本産婦人科医会が作成した「母体安全への提言」に基づき日本母体救命システム普及協議会(J-CIMELS)が設立され,日本臨床救急医学会がその設立メンバーとして参加した。この活動より日本蘇生協議会妊産婦部会での蘇生ガイドラインへの参加,J-MELSベーシックコース・アドバンスコースの運営が行われてきた。救急科専門医も周産期医療の知識が必要であることより,『改訂第6版 救急診療指針』では「母体救急」の章が新設された。妊産婦死亡の大きな割合を占めることとなった自殺問題に関し,日本臨床救急医学会・自殺企図者のケアに関する検討委員会では妊産婦の自殺予防のためのワーキンググループを設立して活動を行っている。