2026 年 29 巻 2 号 p. 142-145
症例は高血圧,直腸癌,不安定狭心症が既往にある80代女性。自宅内で嘔吐し意識障害の状態を発見され搬送された。自室の状況からアスピリン錠を含む処方薬の最大21日分を一度に服用したものと推定された。来院時GCS E1V1M1。気道,呼吸,循環は安定し,採血で特記すべき異常を認めなかった。挿管,胃洗浄を実施し入院とした。来院後に下血を認めたため抗血小板薬の過量内服による血小板機能低下を懸念し,ソノクロット ®で評価したところ,血小板機能は過剰であったため,輸血せず経過をみることとした。その後下血は持続せず経過した。第5病日に上部消化管内視鏡で出血がないことを確認し食事と抗血小板薬を再開した。第13病日に退院した。本症例では高用量アスピリンによる血小板凝集作用があったものと思われ,ソノクロット ®による血液粘弾性測定が診療に有用であったと考える。