2000 年 3 巻 2 号 p. 217-227
救命救急センターが存在しない長崎市および周辺地域(人口約55万人)において,平成4年救急現場のネットワークともいえる長崎実地救急医療連絡会(救急隊員・医師・看護婦で構成)を結成,よりよい地域救急医療を目指し,種々の活動を行ってきた。とくに救急搬送患者についての確定診断や転帰に関する実態調査に基づいて,急性心筋梗塞・脳卒中・小児疾患についての応需体制の再検討を行うことで現場の連携が構築され,分散型救急医療体制から機能分担を明確にした二次病院主体型への方向付けがなされるようになってきた。平成9年9月,本連絡会と長崎市医師会・消防局との協議の結果,長崎救急医療協議会が発足,プレホスピタル・レコードと実態調査表を組み合わせた救急事務引継書の運用を開始した。1年間の運用経験をもとに(調査表回収率98%),長崎の救急事情について紹介するとともに,救急現場の連携の重要性について報告する。