2000 年 3 巻 2 号 p. 208-216
視覚障害者に対する救命講習会を通じて,視覚障害者が行い得る心肺蘇生法のフローチャートと手技を考案したので報告する。視覚障害者が視覚にたよらず行い得る心肺蘇生法と現行の標準的心肺蘇生法との差異は,①傷病者を発見した直後に協力者を確保し,視覚障害者の処置着手前の不安点である周囲状況確認と処置全般のサポートを依頼する,②視覚に代わり,指先および臭気で口腔内の確認を行う,③視覚に代わり,手掌を用いて呼吸の確認や人工呼吸を行う,④人工呼吸は口対鼻人工呼吸法を第一選択とする,ことである。以上の内容を視覚障害者とともに検討し,それが実施可能であることを視覚障害者救命講習会で確認した。