日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
激症型Vibrio vulnificus感染の2例
─本邦報告例67例の集計検討を含めて─
矢吹 輝石倉 宏恭弘津 喜史津田 雅庸中谷 健治田中 孝也
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キーワード: Vibrio vulnificus, 感染症, 疫学
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2000 年 3 巻 2 号 p. 258-264

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抄録

Vibrio vulnificus感染症は救命医療が進歩した今尚,きわめて予後不良の疾患である。今回,V.vulnificus感染症の2例を経験したので,過去の本邦報告例67例の集計と併せて報告する。症例1は54歳の男性。症例2は49歳の男性。両者とも基礎疾患に肝硬変が存在した。感染経路として,症例1は経口感染,症例2は創部感染が原因と考えられた。感染経路に差異はあるものの,急速に進行する皮膚病変に加え,全身症状も激烈に増悪し,治療開始後24時間以内に多臓器障害により死亡した。わが国における発症状況は7〜9月の3か月間に関東以西の西日本で多く発症し,基礎疾患に肝硬変や糖尿病などを有する50〜60歳代の男性に多く発症していた。発症から4日以内に70%以上が死亡し,死亡率は60%ときわめて予後不良なため,患者救命のためには的確な早期診断および早期の抗生剤大量投与や外科的処置が治療上極めて重要であると考えられた。

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© 2000 日本臨床救急医学会
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