日本臨床救急医学会雑誌
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臨床経験
四肢のrun-over injury
—21例の治療経験とその問題点—
小林 眞司安瀬 正紀清水 調千島 康稔荻野 浩希杉山 貢
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2001 年 4 巻 5 号 p. 490-496

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抄録

車のタイヤが体の一部に乗り上げたり,乗り越すことで受傷するrun-over injury(轢創)の損傷形態は特異なdegloving injury(剥脱損傷)である。今回,平成2年4月から平成9年3月までに当救命救急センターに搬入された車のタイヤによる四肢蝶創患者21例25肢について検討した。症例を損傷の程度にしたがって,type Ⅰからtype Ⅴまで7つに分類した。治療に難渋するtype Ⅲa,Ⅲb,Ⅳ,Ⅴの平均入院期間は43.5日と長期の療養が必要であった。治療方針はdelayed primary closureを基本方針とした。剥脱皮膚は生死の判定が困難であり,安易に切除することなく24~48時間以内に再度,デブリードマンを行い,欠損部には創傷被覆材を用い損傷の状態に応じて再建方法の選択を決定した。

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© 2001 日本臨床救急医学会
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