2002 年 5 巻 1 号 p. 16-21
CPAに対しては一刻も早いCPRが望まれる。また,CPA時には家族が現場に居合わせる確率が高いと推察される。このような場合に家族によるCPR施行の有無,その後のCPRに対する認識の変化はCPR普及の意味からも重要な点と考える。そこで1,058例のCPA患者の家族に郵送による調査を施行し,277例より回答を得た。救急隊現着前にCPAとなったのは236例で,家族が現場近くにいたのが136人と過半数であった。その1/3が何らかの処置を施行していた。しかし,人工呼吸と心マッサージをともに施行していたのは,その半数にすぎなかった。過去にCPR実習の経験のある家族のほうが未経験の家族よりbystander CPRの実施率が有意に高く(70.3% vs 23.3%,p<0.0001),前者によるCPR例には社会復帰例が含まれた。その一方,CPAを身近に経験してもCPR実習に対する積極性を有していたのは15.8%だけであり,CPR普及への困難性を示した。