2002 年 5 巻 1 号 p. 61-65
症例は56歳の男性で主訴は発熱と左側腹部痛。10年前からの潰瘍性大腸炎の加療歴と1年前の大腸亜全摘術の既往がある。今回,他医に入院中であったが左側腹部痛が増強し,血圧の低下後に乏尿となり敗血症性ショックを疑われ,発症6日後,当救命救急センターに転院した。搬入時,ショック状態を呈し,左季肋部から左側腹部に限局した筋性防御を認めた。腹部超音波検査および造影CTで脾臓内と脾外側周囲に低吸収域を認めた。経皮的ドレナージによリー時的に循環動態が改善したが,左腹部全体に腹膜刺激症状が拡大したため,18時間後に脾摘術を施行した。脾膿瘍の原因は不明であった。術後経過は良好で,第15病日に独歩退院した。経皮的ドレナージの適応は,未破裂の単発性脾膿瘍で手術を要する基礎疾患がないものとされるが,術前管理としても経皮的ドレナージは有用に思われた。脾摘術に至った経緯を含め,脾膿瘍の治療法について文献的考察を加え報告する。