2002 年 5 巻 1 号 p. 66-69
比較的まれな石灰硫黄合剤による中毒の1例を経験した。患者は49歳男性で,自殺目的に石灰硫黄合剤約50mlを服用した。直ちに胃洗浄,血液吸着,持続血液濾過透析を行った。腐食性胃炎を合併したが,保存的療法で軽快した。血中スルフヘモグロビンは約48時間も陽性であった。本剤服毒による中毒症状の大きな要因は硫化水素の発生による硫化水素中毒である。治療法としては,硫化水素の発生を抑えることが必要であり,分子量から血液吸着の適応は低いと考えられるが,本例のように来院後も併用薬物の摂取が不明な場合や,アシドーシスの進行を認める場合には時機を逃さず持続血液濾過透析のような積極的な治療が必要と考えられた。