2002 年 5 巻 3 号 p. 269-274
目的:救急隊活動時に再破裂した脳動脈瘤症例について検討する。方法:平成9年1月から平成12年10月において,頭部CTと脳血管撮影で確認した破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血症例を事後調査した。結果:破裂脳動脈瘤59例のうちで再破裂は22例(37.3%)にみられた。再破裂の内訳は,急性期の救急隊活動時が9例で最も多く,次いで前医対応中6例,当施設来院後4例,救急要請前に再破裂であった症例3例であった。救急隊活動時における再破裂前の意識レベルは全例JCS 0~1であった。現場到着時の収縮期血圧の平均は216.6mmHgと有意に高かった(p<0.05)。再破裂は初回破裂2時間以内に集中していたが,初回破裂から現場到着までの時間,転院搬送開始までの時間,搬送時間について非再破裂症例と有意差はなかった。考察:救急救命士の対応として,患者は緊張状態で嘔吐しやすい状態にあることを理解し,愛護的な搬送に心がけ,急激な血圧上昇を引き起こす行為を避けることが望まれる。