2002 年 5 巻 3 号 p. 346-350
当院救命救急センターヘ紹介された症例について,紹介元医療機関,重症度などを分析し,救急医療における病診・病病連携の現状を把握するとともに今後の方策を検討した。対象期間は,平成7,10,12年度のそれぞれ4月から10月までの7か月間である。総受診患者数の急激な増加にもかかわらず紹介患者比率はむしろ低下しており,救命救急センターヘの直接来院が増加していた。また,病院からの約30%,診療所からの約40%の紹介例が結果的に軽症であった。当地域の救急医療は救命救急センターに集約,依存する傾向にあり,院内の診療および責任体制の充実と,時間外診療的な部分についての地域救急医療体制の再考が必要である。一方,遠隔地からの重症紹介例は増加傾向にあった。防災ヘリコプターによる当院への搬送例の増加によるが,さらに隠岐地域以外からのヘリコプター搬送を推進することにより,本来の当院の機能である島根県全域を見わたした救命救急医療が可能となる。