2002 年 5 巻 4 号 p. 388-395
病院到着前の脳動脈瘤再破裂の実態を明らかにするため,連続105名のくも膜下出血(以下SAH)患者(77名が救急隊からの直接搬入,28名が他院からの病院間搬送)につき検討した。再破裂は直接搬入群の26名(33.8%),病院間搬送群の8名(28.6%)にみられた。搬送時の平均収縮期血圧は直接搬入群で181mmHg,病院間搬送群でも166mmHgと高値であった。介助を要しない転帰良好例は,直接搬入群では,再破裂23名中5名(21.7%),非再破裂38名中16名(42.1%),病院間搬送群では同様に7名中1名(14.3%),20名中12名(60%)で,再破裂により転帰が悪化した。“救いうる”SAH患者を確実に救うためには,一般市民,専門外の医療従事者の啓蒙に加え,脳動脈瘤根治術が可能な基幹施設への一次搬入と,移送時の鎮静・血圧管理を可能ならしめる病院前救急医療体制の確立が重要であると考えられた。