2002 年 5 巻 4 号 p. 415-419
平成12年10月6日,鳥取県西部を震源とするM7.3,震度6強の地震が発生した。激しい揺れにもかかわらず死者や火災はなかった。今回,被害が最小限に抑えられたのは多くの好条件と阪神・淡路大震災の教訓が活かされたこと,住民が高い自主防災意識をもっていたこと,さらには被害が地域の医療と防災能力を上まわらなかったことによるものと思われた。しかし,地震直後には医療機関,消防機関,行政機関,各機関間の連携に混乱がみられた。今後の課題として,各組織間を統括する機関の設置,通信手段の確保,負傷者搬送におけるヘリコプターの活用,救助側への身体的・精神的配慮,さらには夜間・休日における医療機関の大災害時対応策の検討などが挙げられる。