日本臨床救急医学会雑誌
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事例・症例報告
てんかん発作後に冠動脈病変を伴わない心電図ST上昇がみられた1症例
山口 均山口 芳裕辻 晋也村田 厚夫島崎 修次
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2002 年 5 巻 4 号 p. 431-436

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抄録

てんかん発作後に,冠動脈病変を伴わない心電図ST上昇がみられた1症例を経験した。症例は64歳の女性。てんかん後の意識障害を主訴に来院した。来院時,胸痛の訴えはなかった。しかし心電図でSTの上昇がみられ,血液検査などから急性心筋梗塞と診断し,心臓カテーテル検査を行ったが有意な冠動脈狭窄はみられず,左室造影で壁運動異常がみられた。入院後2日目にてんかんの再発作が起き,その際にも心電図でST上昇がみられた。以上のことから,てんかんを契機として“たこつぼ心筋症”が起こったものと考えられた。てんかん発作後の“たこつぼ心筋症”の報告はきわめてまれであるが,その原因としてくも膜下出血などの際にみられるようなカテコラミンの大量放出が考えられる。中枢神経系の疾患でも全身状態をよく診ることが必要と考えられた。

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© 2002 日本臨床救急医学会
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