2002 年 5 巻 4 号 p. 447-451
A群レンサ球菌感染症には致死的になる劇症型が知られているが,二次感染・集団発症した例は非常に少ない。今回,兄弟間で接触感染したと考えられる症例を経験した。症例1:57歳(兄)。両下肢痛にて発症し,来院時は左下肢全体に壊死がみられたため緊急で左股関節離断術を施行した。左下肢および動脈血よりA群レンサ球菌が検出された。症例2:54歳(弟)。兄の世話をした後より左母指に発赤,腫脹が出現し,来院時には左前腕から腋高まで拡大していた。左手から前腕を切開し排膿を行い,同部よりA群レンサ球菌が検出された。両者に接触の機会があり,傷のあった弟の手に軟部組織感染症が発症し,かつ両者の菌株のM型,T型などが一致したため,兄から弟へ劇症型A群レンサ球菌感染症が二次感染したと考えられた。このことより医療従事者への二次感染にも注意する必要があると考えた。