2003 年 6 巻 1 号 p. 15-18
胃十二指腸潰瘍穿孔の医療費について,治療法および施設間での差を検討した。対象は1998年1月から2年6か月間の関西医科大学高度救命救急センターと二次救急医療施設である市立豊中病院の症例で,合併症のない軽快症例とした。救命救急センターの手術群は5例,胃穿孔の保存療法群は5例,十二指腸穿孔の保存療法群は8例であった。一方,豊中病院の手術群は9例であった。保険点数は二次救急医療施設での手術群がもっとも低く,入院期間も短かった。救命救急センターでの保存療法群は救命救急センターの手術群より保険点数は高いが,入院期間に差はなかった。救命救急入院料,入院期間および抗生剤投与期間などが保険点数の差の原因と思われる。入院時のインフォームド・コンセントに際し,入院期間と医療費の提示が可能となった。