日本臨床救急医学会雑誌
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原著
脳死判定における短潜時体性感覚誘発電位(SSEP)の意義
—聴性脳幹反応(ABR)との比較から—
横田 裕行久野 将宗上笹 宙中野渡 雄一直江 康孝弥富 俊太郎加地 正人畝本 恭子黒川 顕久保田 稔山本 保博
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2003 年 6 巻 1 号 p. 8-14

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抄録

脳幹成分が同定しやすいモンタージュ法を用いて,脳死判定中(厚生省脳死判定基準)に短潜時体性感覚誘発電位(SSEP)を施行した7例を対象とし,その有用性を検討した。モンタージュはCPc-Fz,CPc-REF,CPi-Ai,CPi‐C2sとした。SSEPはN18以降の脳幹,および皮質成分は出現しなかった。通常のモンタージュ法では脳幹,皮質由来のP13,N13を個々に同定することは困難であるが本モンタージュでは可能である。脳死例ではこれら脳幹成分は消失していた。脳死判定の際に聴性脳幹反応(ABR)を行うことが望ましいとされているが,鼓膜損傷や聴力障害患者では検査自体の信頼性に問題が生じる。このような場合もSSEPはABR検査を補完し,下部脳幹機能をも評価することが可能であるため脳死判定に際して有用であると考えられた。

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© 2003 日本臨床救急医学会
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