2003 年 6 巻 1 号 p. 55-59
宿便性大腸穿孔の2例を経験した。症例1は94歳,女性。腹痛で来院し,イレウスの診断により緊急手術を行った。症例2は88歳,女性。腹痛で来院し,第6病日にショック状態となったため緊急手術を行った。両症例ともS状結腸,直腸が穿孔し,多量の硬便が穿孔部から漏れ出ていたためHartmann手術を施行した。宿便性大腸穿孔は大腸に停留した硬便により腸管壁が圧迫され,粘膜の血流障害から壊死に陥り穿孔を来すものである。手術所見,病理組織学的所見より特発性大腸穿孔と鑑別診断しなければならない。憩室,腫瘍などの穿孔に比して発生頻度は低いが,腹痛・嘔吐・下血など非特異的な症状で発症し,その後,糞便性腹膜炎から重篤な状態に陥ることが多く,救急外来においても診断に十分注意を要する疾患である。