2003 年 6 巻 1 号 p. 49-54
症例1:囊胞腎による腎不全で透析中の66歳,女性。上気道炎後,心窩部痛を生じ入院した。囊腎,多発性肝囊胞,腹水,腹部板状硬で反跳痛を認め開腹術を施行した。肝左葉囊胞が破裂しており腹腔洗浄・誘導を行った。真菌・細菌血症,呼吸不全などを生じたが改善し,86病日転院した。症例2:糖尿病未治療の62歳,男性。腹痛を主訴に入院。囊胞腎,free air,肝左葉多発性小囊胞,腹水を認め開腹術を施行した。肝左葉被膜下囊胞が破裂しており,腹腔洗浄・誘導を行った。真菌・細菌血症,呼吸不全,DICなどを生じたが改善し,70病日退院した。結語:囊胞腎に伴う肝囊胞破裂はまれであるが,医療水準向上などによる患者の高齢化とともに増加すると思われる。術前診断は困難なこと,高齢,腎機能の低下,そのほかの合併症による免疫低下状態のために重篤となり,集中治療を要することから念頭におくべき腹部救急疾患の一つと考えられた。