日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
特殊な屋外現場での早期除細動により社会復帰し得た心肺停止の1症例
白川 徹松山 孝生白子 隆志横尾 直樹
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2003 年 6 巻 1 号 p. 60-65

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抄録

心肺機能停止患者の救命のためには,救命の連鎖が間断なく迅速に連携することが重要である。除細動を行うまでの時間短縮は自己心拍再開成功の大きな要素であり,救急救命士が救急現場で活動するうえでの課題でもある。今回,積雪のある高さ6mのアーケード上という特殊な屋外現場において心肺停止状態となったが,目撃者による早期通報,救急救命士による除細動,救助隊との円滑な連携により来院前に心拍・呼吸ともに再開し,無事社会復帰し得た1症例を経験した。本症例は心電図伝送が困難であった特殊な屋外現場から口頭のみでの除細動指示要請であったが,医師からの指示が円滑に得られ,早期に除細動を実施できたことが心拍再開の大きな要因であったと考えられた。当地域における救急救命士の就業前病院実習・生涯教育実習を通しての,救命救急センター医師との信頼関係の構築が功を奏した1症例として報告する。

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© 2003 日本臨床救急医学会
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