日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
秋田県における初回自殺企図患者の精神・社会的背景の検討
中永 士師明
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2003 年 6 巻 1 号 p. 66-70

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抄録

初回自殺企図患者の社会的背景を調査し,予防・再発防止のための対策について検討した。対象は初回自殺企図患者37例で,信仰,宗教観,相談者の有無について前向き研究を行った。手段としては薬物・医用薬物,ガス,毒物・農薬,綸首,焼身,刃器・刺器,飛び降りの順に多くみられた。疾患分類は神経症圏・心因反応,躁うつ病圏,中毒精神病・物質依存の順に多かった。「信仰」ありはなく,「宗教観」があったのは1例,相談者がいたのは2例だけであった。自殺率全国1位が続いている秋田県の自殺者は高齢者が多いといわれているが,今回の検討では青壮年者が78.4%を占めていた。秋田県は親族や集落単位での意識が強く,相談が容易にできない雰囲気にあった。このことから秋田県では自殺防止対策のため精神科医だけでなく,警察,法医学教室,宗教家,ジャーナリストなどを含めて会合を行っている。

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© 2003 日本臨床救急医学会
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