日本臨床救急医学会雑誌
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原著
侵襲的処置のデーターベース化による合併症回避の試み
水島 靖明溝端 康光松岡 哲也横田 順―朗
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2003 年 6 巻 4 号 p. 365-370

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抄録

われわれは危機管理の一環として,日常行われる侵襲的処置を処置簿に登録し,データーベース化することにより合併症の種類,頻度などを分析している。今回は,それらの合併症を分析し,誘発する危険因子を抽出する試みを行った。対象としては2001年7月までの2年間に施行されたすべての中心静脈穿刺(CV)1,366回,胸腔ドレナージ(CT)260回,脳室ドレナージ(IC)145回,気管切開(T)125回を前向きに検討し,施行者の要因,患者の疾患や特徴,施行時の要因を解析し危険因子を抽出した。その結果,合併症(位置異常を含む)はCV 11.5%,CT 11.9%,IC 16.6%,T6.4%に認め,誘発する危険因子としていくつかの要因が見つかった。処置簿に記録することにより合併症の種類,頻度が明確となり,インフォームド・コンセントでの有用な情報となり得ると考えられた。今後,さらに合併症を減少させるためには,合併症を増加させる危険因子の周知,これを回避するための工夫と教育,施行者個別への指導が必要になると思われた。

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© 2003 日本臨床救急医学会
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