的確な重症度と緊急度判断に基づく,適切な搬送先医療機関選定(フィールドトリアージ)は病院前救護体制の基本である。1999年6月~2000年3月の間の25日間に横浜市消防局救急隊が救急車同乗研修に参加した医師とともに救急搬送した371例を対象とし,救急救命士と同乗医師の選定医療機関カテゴリーと選定理由を調査し,後日救急認定医により同僚審査を行った。選定医療機関カテゴリーの不一致は156例(全症例の42.3%)であった。うち81例は重症度・緊急度の評価差に起因し,42例は評価差ではなく地域医療機関の受け入れ体制に関連していた。またフィールドトリアージ精度を症候別に検討した結果,生理学的パラメーターの異常がない症例で,精度が低い傾向にあることが分かった。今後は十分なメデイカルコントロールに基づくトリアージツールの作成と,ツールが定めるカテゴリーに基づいた地域医療機関受け入れ体制の強化が重要と考えられる。