一酸化炭素(CO)中毒の初期治療を怠ると,間歇型CO中毒へ移行して精神神経障害を残す恐れがある。この間歇型への移行の原因とその対策を検討する目的で,高気圧酸素療法(HBOT)(2.5絶対気圧,60分間,7回)を施行したCO中毒35症例(男性23名,女性12名)を対象として,重症度分類(潜在性15名,軽症9名,中等度9名,重症2名)と原因別分類(火災15名,排気ガス12名,火鉢8名)で,HBOT前後におけるCO-Hb値とMet-Hb値の推移を調べた。重症度分類では差が認められなかったが,原因別分類では火災群で,CO-Hb値がHBOT施行翌日にもとの値にリバウンドする現象が1週間くらい持続していた。この結果より,CO中毒の原因によって間歇型CO中毒が発生する恐れがあり,HBOTの施行方法を検討する余地があると示唆された。