2003 年 6 巻 5 号 p. 487-489
患者は48歳,女性。自宅(薬局)の硫酸銅約10 gを服用し,嘔吐した。来院時,口腔周囲に青色の粉末が付着していたが口腔内のびらんはなかった。輸液路を確保し,生理食塩液で排液が清澄になるまで胃洗浄を施行した。その後,気管挿管・全身麻酔下に上部消化管内視鏡を行った。胃壁全体に青色の硫酸銅が粘液とともに付着していた。これを直視下に徹底的に洗浄し,吸引,除去した。翌日の内視鏡検査では,ごく軽度の胃壁の発赤を認めるだけでD-ペニシラミンおよびジメルカプロールを投与した。銅の血中濃度は100 μg/dl前後と正常範囲内で,尿中濃度は第3病日454.5 μg/dlと増加していたが溶血・腎不全などを来すことなく経過は良好であった。普通の胃洗浄では除去できない硫酸銅を内視鏡下に徹底的に洗浄したことが有効であったと思われた。