日本臨床救急医学会雑誌
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原著
交通外傷における「高エネルギー事故」の重症度評価
篠原 一彰松本 昭憲
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2004 年 7 巻 1 号 p. 16-21

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抄録

目的:JPTECでは,状況評価で高エネルギー事故であるものはLoad and Go適応を考慮し,高次病院への搬送を勧めている。しかし,高エネルギー事故でも軽症のことがある。そこで実際の重症度を検討した。対象と方法:昨年1年間に搬送された交通外傷900例中,明らかに「高エネルギー事故」である238例を対象とした。重症度評価にはRTS,AIS-90を用いた。結果:全238例の平均ISSは16.5で,内訳は外来死亡28例,ICU入院26例,その他の病棟入院93例,独歩帰宅91例であった。RTS 7.8以上の症例は74.8%で,AIS 3以上が1部位以上は116例,多発外傷は58例であった。重症度は歩行者・二輪車に比べ,四輪車乗員で有意に低かった。考案と結語:状況評価で「高エネルギー事故」の交通外傷症例の約半数にAIS 3以上の重症外傷が認められ,約1/4が多発外傷であった。傷病者総数が少ない通常の事故では「高エネルギー事故」全例をLoad and Go適応とし,高次病院へ搬送することは許容される。

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© 2004 日本臨床救急医学会
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