日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
P-ANCA抗体価の漸減中に肺病変の再燃を認めた顕微鏡的多発血管炎の1例
三木 重樹田中 孝也北澤 康秀弘津 喜史武山 直志中谷 壽男
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2004 年 7 巻 4 号 p. 334-338

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抄録

P-ANCA抗体価の漸減中に肺病変の再燃を認めた顕微鏡的多発血管炎の1例を経験したので報告する。症例は76歳の女性。数日間続く下痢および呼吸困難を主訴に紹介入院した。入院時胸部画像所見で両肺野に浸潤影を認め,肺炎の診断のもとに抗生剤投与を開始したが改善せず。尿蛋白・尿潜血陽性,P-ANCA抗体価高値および胸部X線像より顕微鏡的多発血管炎(以下MPA)と診断した。ステロイドによる免疫抑制療法を開始したがステロイド漸減時に血管炎の再燃と思われる間質性肺炎/肺線維症を認めた。今回P-ANCAをマーカーにステロイドの減量を行ったが,P-ANCAが低下傾向にあるにもかかわらず再燃をみた。再燃前に血小板数,CRP,FDPなどが変動し,再燃時にはKL-6,ヒアルロン酸が上昇した。MPAの管理においてはP-ANCAのみならず,種々の炎症性のパラメーターを総合的に評価し,再燃の予測に細心の注意を払う必要がある。

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© 2004 日本臨床救急医学会
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