2004 年 7 巻 5 号 p. 367-371
急性大動脈解離は胸痛,背部痛のみならず,さまざまな症状を呈することがあるため,初診の時点で循環器専門施設を受診するよりは,むしろ一般の救急施設を受診することが多いと考えられる。このため,初期救急を担当する医療機関での診断能力が問われる疾患である。今回われわれは初期・二次救急医療機関である当院救急外来を受診した急性大動脈解離24症例の初期診断の間題点を検討した。その結果,急性大動脈解離のうち,突然の胸背部痛を訴えない症例,独歩来院例,バイタルサインの安定している症例では診断に時間を要する傾向が認められた。また胸部レントゲンにて縦隔の拡大,血胸による肺野透過性の減弱,といった所見の出現率は少数であった。初期・二次救急医療機関での診断能力の向上のためには,こうした症例の検討を蓄積し,これらの知見をすべての救急外来担当医が共有することが重要と考えられる。