日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
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ISSN-L : 1345-0581
7 巻, 5 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
臨床経験
  • 森本 文雄, 渋谷 正徳, 吉岡 伴樹, 鈴木 秀道, 鈴木 義彦, 木村 一隆, 清水 正幸, 井田 夕紀子
    原稿種別: 臨床経験
    2004 年 7 巻 5 号 p. 361-366
    発行日: 2004/12/31
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    消防局の協力を得て,病院職員向けのACLSの概念を導入した教育コース(ミニACLSコース)を開発し実施した。その実際と,コース実施後の結果を報告する。ミニACLSコースの開発に際し留意した点は,勤務時間内における短時間での開催,指導者数の安定確保,実習器材の確保の3点である。これらの解決策として消防局の実習器材を借用し,救急救命士を指導者として招聘した。また救急病棟看護師を消防局の協力を得て指導者として育成した。受講者を15人と制限し,かつビデオによる事前学習を実施することによって, 1時間30分から2時間と短時間のコースを作り得た。計6回のコースを開催し90人が受講した。回答が得られた86人の受講者に対するアンケート結果は,楽しかった;79人,有意義だった;80人,続けたほうがよい;84人であった。受講者の救命処置に関する自己評価は,受講後に著明に改善した。

  • 福島 英賢, 則本 和伸, 廣田 哲也, 野阪 善雅, 塩川 智司, 関 匡彦, 小延 俊文, 奥地 一夫
    原稿種別: 臨床経験
    2004 年 7 巻 5 号 p. 367-371
    発行日: 2004/12/31
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    急性大動脈解離は胸痛,背部痛のみならず,さまざまな症状を呈することがあるため,初診の時点で循環器専門施設を受診するよりは,むしろ一般の救急施設を受診することが多いと考えられる。このため,初期救急を担当する医療機関での診断能力が問われる疾患である。今回われわれは初期・二次救急医療機関である当院救急外来を受診した急性大動脈解離24症例の初期診断の間題点を検討した。その結果,急性大動脈解離のうち,突然の胸背部痛を訴えない症例,独歩来院例,バイタルサインの安定している症例では診断に時間を要する傾向が認められた。また胸部レントゲンにて縦隔の拡大,血胸による肺野透過性の減弱,といった所見の出現率は少数であった。初期・二次救急医療機関での診断能力の向上のためには,こうした症例の検討を蓄積し,これらの知見をすべての救急外来担当医が共有することが重要と考えられる。

症例報告
  • 木内 俊一郎, 新谷 裕, 箱田 滋, 中島 道隆
    原稿種別: 症例報告
    2004 年 7 巻 5 号 p. 373-377
    発行日: 2004/12/31
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    症例は50歳女性。生活苦から2カ月間飢餓が続いていた。動けなくなっているところを発見されA病院へ搬送された。意識混濁,構音障害,運動失調を認めており,点滴治療を行ったが精神症状が出現したためB精神科病院に転院し,さらにC病院へ転院後,本院救急部へ転院した。MRI検査(T2強調画像,FLAIR画像)にて視床,乳頭体,第3脳室周囲に異常高信号域を認めた。C病院入院時の血中ビタミンB1濃度が7 ng/mlであったことが本院入院後判明したため,Wernicke脳症と診断した。ビタミンB1(200 mg/日)の投与を続けたところ第35病日には上肢の運動,嚥下運動が可能となった。Wernicke脳症は運動失調などの後遺症が60~90%にみられるが,治療が早ければ病変は可逆的である。早期発見,早期治療が必須である。

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