2005 年 8 巻 4 号 p. 293-301
長野県飯田下伊那の病院外心停止例をデータベース化し検討した。ウツタイン様式では年間心停止例は88.8例/10万人(心原性47.5%,非心原性52.5%)で,心原性で目撃あり例のバイスタンダーCPR実施率は58.6%と大阪,ニューヨーク,ヘルシンキより高率であった。心拍再開率34.5%,入院率13.8%,生存退院率0.0%は,高齢化の地域特性を考慮しても満足できるものではなかった。単変量分析では,心拍再開群は非心拍再開群に比し目撃ありの割合(67.6% vs 34.7%),心室細動(Vf)の割合(13.5% vs 1.7%),無脈性電気活動(PEA)の割合(29.7% vs 10.7%),特定行為の除細動施行の割合(10.8% vs 2.5%)がおのおの有意に高値であった。問題点として半自動体外式除細動器による無脈性電気活動(PEA)のVf誤判定例が1例あった。データベースを用いた評価をさらに重ね,救急医療体制の改善に努めねばならない。