日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
症例・事例報告
ドクターカー出動によりACLSが効を奏し社会復帰した心肺停止の1例
宮本 哲也黒田 祐一高岡 秀幸藤田 信彦小林 誠人松山 重成冨岡 正雄中山 伸一小澤 修―
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 8 巻 4 号 p. 329-333

詳細
抄録

当センターのドクターカーシステムでは心肺停止(cardiopulmonary arrest;CPAと略す),胸痛症例に対し医師が現場に直接出動し,acute coronary syndrome(ACSと略す)が疑われた場合,現場からセンターに緊急心カテーテル検査(coronary angiography;CAGと略す)の準備を指示する体制となっている。今回は56歳,男性の急性心筋梗塞(acute myocardial infarction;AMIと略す)による心肺停止症例に対してドクターカーが出動し,早期に再灌流を行い救命できたので報告する。患者は胸痛出現後心肺停止となり救急要請。ventricular fibrillation(Vfと略す)に対し救急救命士が包括的除細動を2回施行,心静止となった。ドクターカー現場到着後,エピネフリン投与と気管挿管を行い,覚知から20分後に心拍が再開し,現場よりCAGの準備を依頼した。センター搬入後intraaortic balloon pumping(IABPと略す)を挿入。CAGを行い左前下行枝(♯7)に99%TIMI分類2の病変を認めた。同部位に対しpercutaneous coronary intervention(PCIと略す)を行いTIMI分類3のflowが得られ,かつ完全に開大することに成功した。door to balloon timeは約45分であった。患者は第26病日で退院し,社会復帰することができた。本症例はドクターカーシステムによる適切なプレホスピタルケアによって救命できたと考えられた。

著者関連情報
© 2005 日本臨床救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top