日本臨床救急医学会雑誌
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臨床経験
脾機能低下を背景とする劇症型感染症の臨床的検討
一本疾患の啓蒙の重要性―
小島 直樹石田 順朗寺田 泰蔵稲川 博司岡田 保誠清水 誠一郎
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2005 年 8 巻 5 号 p. 355-360

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抄録

最近,われわれは脾摘後に関連した劇症型感染症を3例,小脾症による脾機能低下を背景としたと考えられた劇症型感染症を1例経験した。4例はいずれも発症3日以内に敗血症性ショックに陥り,播種性血管内凝固障害,腎機能障害などの多臓器不全となった。4例中1例は救命し得たが,3例は集中治療にもかかわらず入院後3日以内に死に至った。脾機能低下を背景とする劇症型感染症の生命予後は非常に不良であると考えられた。したがって,本病態の救命率の改善には第一に予防策の徹底が必要と思われた。また,第二には症状が軽度の段階から脾機能低下症例では劇症型感染症に移行する可能性があることを念頭に置いて治療を開始することが必要であると考えられた。そのためにも初診に携わる医療機関のみならず患者側においても本病態に対する啓蒙が非常に重要であると考えられた。

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© 2005 日本臨床救急医学会
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