日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
イタリア・ローマ救急医療サービス体制:ローマ指令センター,救急自動車待機ステーション(Postazione)視察経験
渡邊 孝森脇 義弘杉山 貢Roscioni AM
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2005 年 8 巻 5 号 p. 361-368

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抄録

歴史や文化が異なるイタリア・ローマでの救急医療体制を視察し,本邦での活用の可能性や問題点を考察した。ローマでは,救急医療管制員(本邦の指令管制員),ドクターカーや救急自動車等に乗務する院外救急医療要員(本邦の救急隊員)は,資格として看護師や医師であるというだけでなく,救急外来に従事する医師や看護師などとともに,国立病院の職員である。そのため,院外救急医療―搬送―病院内初期診療の継続性が期待できる。反面,救急・災害現場での救助担当機関や消防機関との連携が課題と思われた。救急自動車の小型化,現場医療と搬送の機能分担,待機ステーションの配置修正や救急自動車の巡回,搬送先医療機関を直近の救急病院とし合計活動時間の短縮を図るなどの工夫による現場到着時間短縮,救急医療管制員の傷病者トリアージによる救急医療需要と供給の調整などは一考に値すると思われた。

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© 2005 日本臨床救急医学会
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