日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
奈良県中・南和地区における病院前ショックパンツの現状
小延 俊文奥地 一夫福島 英賢畑 倫明則本 和伸植山 徹關 匡彦西口 貴司中村 達也
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2005 年 8 巻 5 号 p. 369-372

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抄録

ショックパンツ(Military anti-shock trousers;MAST)は,1991年「救急隊員の行う応急処置などの基準」の改正で,拡大9項目のなかに入っている。しかし,その使用頻度は低く,処置に伴う有効性の検証も行われていない。〔目的〕奈良県5消防本部のMAST積載状況,MAST使用状況などの現状を把握し,今後の課題を検討する。〔結果〕5消防の救急車台数は24台でMAST積載率は83%であった。2年間での外傷患者に対する病院前使用はCPA 1例で,結果的には大動脈損傷によるものであった。〔結論〕外傷初期治療の標準化を目的としたJPTECコースではショックパンツに関してのプログラムはない。今後,病院前外傷治療におけるMAST使用適応に関して再検討が必要と考えられ,とくに頭部外傷や胸部外傷合併の可能性のあるCPA例に対して病院前MASTの適応はないものと考えられた。

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© 2005 日本臨床救急医学会
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