2006 年 9 巻 1 号 p. 17-23
目的:医師同乗の救急隊によるくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage;SAH)患者搬送の検討。方法:高槻市で救命センター医師同乗の救急隊(特別救急隊)の運用を開始した2002年10月以降のSAH搬送事例を検討した。結果:525件の搬送〔内因性疾患369名,外傷156名,心肺機能停止(cardiopulmonary arrest;CPA)201名〕のうち,SAH患者は12例(男女各6例,年齢50~80歳)であった。現着時,CPAが2例,Japan Coma Scale(以後,JCSと略す)3桁が8例,2桁,1桁が各1例,このうち現場での治療により,CPAの2例は自己心拍が再開し,来院時にはJCS 3桁が8例,2桁,1桁が各2例であった。鎮痛,鎮静,降圧,気道確保(4例に気管挿管),および2例に抗痙攣薬投与を行い搬送した。3例に再破裂を認めた。来院後9例に緊急手術を施行し,転帰は良好5例,重度障害3例,死亡4例であった。考察:超急性期の重症SAHの搬送において,再破裂を完全に予防することはできなかったが,現場での気管挿管を含む確実な気道確保と十分な鎮痛・鎮静・降圧は低酸素性脳障害の回避と再破裂予防に有用と考えられた。