日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
脾ペリオーシスにより特発性脾破裂を来した血液透析患者の1症例
新谷 裕箱田 滋木内 俊一郎
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2006 年 9 巻 3 号 p. 252-255

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抄録

49歳,男性。血液透析患者である。2ケ月前から左側腹部痛を自覚していた。紹介来院し当施設にて腹部CT撮影を施行した。腹腔内出血および脾被膜下血腫と脾内に多数の不整形低吸収域を認め,脾破裂と診断され緊急入院となった。なお,外傷の既往はない。vital signは安定していることから,保存的療法を開始したが,第2病日に再出血し,脾摘出術を施行した。術後経過は問題なく,第11病日に軽快退院した。病理所見から脾ペリオーシスと診断した。脾ペリオーシスの発生機序は不明であるが,蛋白同化ステロイドやエリスロポエチンなどの薬剤との関連が指摘されている。血液透析患者に脾ペリオーシスが合併した症例の報告は3例あり,うち1例は脾破裂を起こしていた。本症例もエリスロポエチンが投与されており関連が示唆される。また血液透析患者に自然脾破裂の合併例も報告があり,稀ではあるが左側腹部痛を訴えれば考慮すべき疾患である。

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© 2006 日本臨床救急医学会
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