コーチングは相手の問題解決能力を引き出す双方向コミュニケーション技術である。救急救命士を目指す大学生のコミュニケーション能力を育成するために,コーチング・コミュニケーションのスキルを学ぶ実習を行い,実習前後における行動特性の変化を調査した。対象は救急救命士課程3年学生27名とし, 3ケ月間に3時間のロールプレイを中心としたコーチングの基本技術(傾聴,質問,承認,提案)を体得する実習を5回実施した。コントロール群は臨床検査技術学科学生25名とした。実習前後で情動知能指数(Emotional Intelligence Quotient,EQ)により行動特性を評価したところ,心内知性(自分の感情を調整し,やる気を引き出す能力),対人関係知性(対人関係を上手に発展させる能力),状況判断知性(的確な状況判断と適切な対処能力)のスコアが有意に高くなった(p<0.001)。この効果は学生自身が実習を通じてセルフコーチングがなされていたことによると推察した。コーチングを取り入れた実習の導入は,救急救命士を目指す学生の行動特性を伸ばす方法として有効な方法であった。