日本教育工学会研究報告集
Online ISSN : 2436-3286
スペル習得における英単語のサーチ手法の影響
-学習支援システムを利用したリーディング活動において-
佐野 いまり川村 晃市柏木 治美康 敏
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2022 年 2022 巻 4 号 p. 255-260

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抄録

語彙習得が言語の4技能の基礎であることは言うまでもない.リーディング活動が単語習得に影響を与えていることが報告されている.英語のリーディング活動における英単語学習を支援するシステムの開発を目指して,本研究では,単語の意味をサーチする際に,単語のアルファベットを発音するスペル発音検索と学習者がよく利用するコピペや選択による単語検索(テキスト検索)が単語の記憶に与える影響について調査実験を行った.実験では,参加者をスペル発音検索群とテキスト検索群に分け,2種類のサーチ手法を用いた.そして,再認テストと再生テストによって異なるサーチ手法が単語の記憶に与える影響を比較した.再生テストでは,再生刺激と再生内容の違いによって,スペル発音検索群とテキスト検索群に異なる結果が得られた.参加者数や単語数によって,ほとんどの値において統計的有意差が見られなかったものの,多読などのリーディング活動において,単語の意味を調べる際に,そのサーチ手法を少し変えてみることによって,単語の意味だけでなく,スペルの記憶も同時に促進できる可能性を示唆するものとなった.今後より詳細な調査によって,リーディング活動における単語スペルの記憶促進になる効果的な語彙習得の方法を探り,学習支援システムへの実装を図る.

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© 2022 日本教育工学会
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