抄録
老化米飯の評価方法として,定量性に優れているために一般的によく用いられる方法として,DSC測定,BAP法がある.しかし,試料の調製方法の煩雑さや,初期段階の老化評価が難しいという欠点がある.
本研究では,マイクロ波加熱を用いて炊飯した米粒の老化の進行を,X線回折を用いて定量化することを目的とした.また,一般的に行う粉末処理をせずに,より簡便な測定方法としてすり潰した試料を直接測定することによって老化米飯の評価方法を検討した.また,偏光顕微鏡観察を同時に行い,老化の程度を可視的に確認し,X線回折の結果と合わせて考察した.
結晶化度の算出を行った結果,低温貯蔵12時間後から老化の進行が認められた.得られた結晶化度よりAvrami式を用いて,老化速度定数の算出を行った.老化速度定数は,炊飯後の飯粒含水率に大きく影響を受け,含水率が低いほど老化速度定数は大きかった.