日本食品工学会誌
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原著論文
ヨーグルトに分散した気泡が誘電特性に及ぼす影響
井口 亮川井 清司羽倉 義雄
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2012 年 13 巻 1 号 p. 13-20

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抄録

誘電特性は試料の構造,組成,相,温度などの物理的な要因と関連がある.そのため,これらの物性を利用した測定法は試料の構造を把握する有効な手段となる.また,この測定法では非破壊測定が可能である.この研究において,我々はヨーグルト中の気泡が誘電特性(複素静電容量)に及ぼす影響を調べた.ベースヨーグルトに気泡を分散させることにより試料を準備し,ヨーグルト内の気泡量や気泡サイズが誘電特性に及ぼす影響を検討した.その結果,ヨーグルト内の気泡量の増加に伴って静電容量は増加した.さらに,ヨーグルト内の気泡径の減少に伴って静電容量は増加した.これは,気-液界面における界面動電現象が静電容量の増加に寄与していると考えられる.一方,50 Hz-1 MHz範囲でベースヨーグルトと気泡含有ヨーグルトの複素静電容量の測定を行い,これらの測定値を基にCole-Coleプロットを描いたところ,両サンプルの円弧の大きさに明瞭な違いが見られた.Cole-Coleプロットの円弧部分の周波数範囲内では,空気含有ヨーグルトの静電容量は,常にベースヨーグルトよりも大きかった.以上の結果から,誘電特性の測定によりヨーグルト内の気泡を定量化できる可能性を示すことができた.

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© 2012 一般社団法人 日本食品工学会
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