日本食品工学会誌
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原著論文
緑豆発芽野菜の従属栄養栽培における気相酸素濃度の影響
中居 藍玉手 晴香中森 康幸江刺 雅大岩元 靖塚田 義弘石川 大太郎藤井 智幸
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2016 年 17 巻 2 号 p. 41-49

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抄録

高密度栽培系における緑豆発芽野菜の栽培プロセス確立のため,酸素制御による緑豆の従属栄養生長反応および二次代謝反応への影響を評価した.高密度栽培系の試験には気相制御可能な台車を用いた.高密度栽培系および一個体栽培試験を実施し,酸素濃度条件の異なる栽培環境の重量およびもやしの根と茎の白度の測定と,一個体の重量基準の比生長速度を求めた.高密度栽培系では一個体栽培よりも,低酸素濃度における比生長速度が速い傾向があり,生産効率性が高くなった.また,酸素の低濃度制御により,根と茎の白度比が高くなったため,根の褐色物質生成反応が抑制されたと考えられた.以上の結果から,高密度栽培系において,酸素濃度の気相制御による生長反応と二次代謝反応の制御が可能であることが示された.本研究により,青果の鮮度保持に気相制御技術が利用されているControlled Atmosphere(CA)貯蔵のように,植物栽培でもCAの概念が応用できる可能性が示唆された.

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© 2016 一般社団法人 日本食品工学会
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