本研究では,近赤外光の照射が外観品質および外観に関連する生理活性に及ぼす影響を調査した.カットレタスへの近赤外光照射は保蔵中の一般生菌数抑制や重量減少抑制に効果を有する可能性が示された.しかし30 sおよび60 sの近赤外光照射条件では僅かではあるが褐変割合が増加して外観品質を悪化させる可能性があることも示された.これはPAL活性,総ポリフェノール量が増加した結果であると考えられた.一方で10 sでは褐変割合の増加が確認されず,PAL活性,総ポリフェノール量ともにControlとの差がみられなかった.このことから本研究で設定した照射条件の範囲では,10 s程度のごく短時間の近赤外光照射であればポリフェノール合成に影響を与えず,一般生菌数抑制,重量減少の抑制効果を期待できる可能性が示された.