日本食品工学会誌
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原著論文
ストレートトマトジュースを用いた加熱モデルにおける揮発性成分組成変化と主要マーカー成分
岩﨑 由美小田切 雄司小幡 明雄飯島 陽子
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2020 年 21 巻 2 号 p. 63-74

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抄録

本研究ではトマトジュースの揮発性成分組成に着目し,加熱処理が香気プロファイルへ与える影響について調べた.二種類のトマト生果の風味に近い市販ストレートトマトジュースを用い,95-100°Cで0時間(未加熱)から5時間まで段階的に加熱を行った.それぞれのサンプルについて揮発性成分を抽出し,組成プロファイルを比較した.二種類のトマトジュースにおいてそれぞれ81成分および86成分が同定または推定された.主成分析を行った結果,加熱時間の増加によってサンプルが分類されることがわかった.さらにPLS回帰分析によりマーカー成分として7種の揮発性成分がスクリーニングでき,これらの7種で良好な加熱時間の予測モデルを構築することができた.次に,これらの成分の官能的な香気寄与を確認すべく,Gas chromatography-mass spectrometry/Olfactometry分析および各成分の定量を行ったところ,phenylacetaldehyde,hexanal,β-damascenoneおよび2-pentylfuranが官能的にも寄与が高く,これらの成分の変化がトマトジュースの加熱による香気特性の違いに関与することが示唆された.

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© 2020 一般社団法人 日本食品工学会
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