日本食品工学会誌
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解説
不均一な食品のテクスチャー評価法に関する研究
神山 かおる
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2023 年 24 巻 4 号 p. 85-91

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抄録

食品のテクスチャーは重要な評価項目といえるが,食品は不均一で,食べている間にテクスチャーがダイナミックに変化する.食品の物理的性質は,口腔内に多数存在する受容器によってテクスチャーとして知覚される.そこで,多数の感圧点をもつシートセンサを用いて,固形状食品を圧縮したり噛んだりしたときの応力分布や液状食品の流動特性を評価する方法を設計した.また,市販の介護食品やそのモデルであるやわらかいハイドロコロイドゲルのような,舌と硬口蓋の間で容易に潰せるやわらかい食品を評価するために人工舌を導入した.この人工舌を組み込んだソフトマシンで圧縮試験を行った.人工舌は変形し,食品を取り囲んだため,従来のかたい機械を用いた試験で破断時の変形率が高かった食品試料は,ソフトマシンでは破断されずに評価された.これらの結果から,食品の破断変形が,舌と硬口蓋の間での圧縮による食品破壊の際に重要な因子であることが示唆された.ここで紹介した方法は,不均一食品のテクスチャー評価,多成分からなる加工食品の開発,食具のユニバーサルデザインなどに応用できる.

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© 2023 一般社団法人 日本食品工学会
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